実質所得者課税の原則

 実質所得者課税の原則とは、実質所得者に課税すべしとする税法の基本原則をいいます。資産又は事業から生ずる収益の法律上帰属するとみられるものが単なる名義人であって、その収益を享受せず、そのもの以外の者(法人を含む、以下同じ)がその収益を享受する場合には、その収益は、これを享受する者に帰属するものとして、この法律の規定を適用すると定めがあります(所得税法12条、法人税法11条)。

 法律上の所得享受者は真の所得享受者であることが前提とされるから、法律上の名義人と真の所得者が異なる場合には、法律上は法的実質に基づいて法律関係が判断される。所得を実質的に享受することができるとは、法的に所得を享受できる実質的権利を有するからにほかなりません。名義人が収益を享受しないということは、収益を享受する人が新たな名義人ということです。ですので、新たな名義人が法律上帰属する者となります。