遺留分の生前放棄

遺留分の放棄は、たとえば、「長男に遺産を全て相続させる」という遺言をのこし、そしてその他の相続人には遺留分を放棄させて、長男にすべてを相続させるような場合に行います。

相続開始前の遺留分の放棄は、遺留分権利者が被相続人に対して意思表示することにより行われますが、家庭裁判所の許可が必要です。

遺留分放棄の許可を家庭裁判所に申立できるのは、被相続人の配偶者と第一順位の相続人です。

遺留分を放棄した者は、自己の相続した財産が遺留分に達していなくても、遺留分の権利を行使することはできません。ちなみに、相続開始後の遺留分の放棄は自由ですので、家庭裁判所の許可は必要ではありません。

遺留分の放棄をしても、相続の放棄をしたことにはなりません。遺留分を放棄した者も、相続が開始すれば相続人となります。被相続人が遺言をしないまま死亡した場合には、遺留分を放棄した相続人も相続権を失わないし、遺産分割協議の当事者にもなります。

遺留分の放棄を無限定に認めると、親の権威で相続人の自由意思を無理におさえるおそれがあるため、家庭裁判所は許可する基準を設けています。
① 放棄が本人の自由意思にもとづくものであるかどうか
② 放棄の理由に合理性と必要性があるかどうか
③ 代償性があるかどうか(たとえば放棄と引きかえに現金をもらうなど)
などを考慮して、遺留分の放棄が相当かどうかを判断して、許可の審判あるいは却下の審判をしています。

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