相続税法上の養子縁組の規定
実子がいる場合には一人のみ法定相続人の数に含めます。実子がいない場合には二人までを法定相続人の数に含めます。ただし社会通念上、親子関係創設の意思が全く無く、節税効果のみを目的とした縁組は認められません。
その効果
① 基礎控除額(一人1000万円)、生命保険金等の非課税枠(一人500万円)が追加します。
② 相続税を計算する際の税率が下がり、相続税が軽減されます。
③ 孫と養子縁組することにより、相続税の課税を一世代飛ばすことが出来ます。
養子縁組の届出
養子縁組当事者の本籍地又は住所地の市区町村へ「養子縁組届」を提出します。
養子縁組の解消
養子が15歳以上であれば当事者間で協議離縁などにより親子関係を解消できます。協議による離縁は特別な理由を必要としません。
注意点
① 尊属又は年長者は養子に出来ません。
② 未成年者(孫)と養子縁組する場合は原則として親権者(親)が法定代理人として遺産分割協議を行なう為、親と孫で利益が相反することになります。このような場合は遺産分割協議に際して家庭裁判所に申し立てをして特別代理人の選任が必要となります。
また、孫が相続した土地に親が抵当権を設定して賃貸マンションを建築する場合などでは特別代理人との協議が必要となります。
③ 養子は養親の氏を名乗らなくてはなりません。
節税効果だけで養子縁組をすることは「争続」の原因にもなります。養子縁組により孫など本来は相続人でない者も法律上相続人となり、相続権とともに遺留分の権利を持つことになります。
同居している子の妻との養子縁組により、身の回りの世話をかけた義理の娘に一定の財産を相続することの出来る権利を確保するなど、目的のはっきりした養子縁組であれば相続人間で理解を得られると思われます。
養子縁組を行なう場合、遺言書などで相続する財産を具体的に指定しておくなどの配慮が必要です。