長崎地裁「監査役退職金訴訟」判決 原告の損金算入認める
国の判断「地位激変せず」退ける
会社の代表者の妻が取締役を退任し監査役に就任したことで支給された退職金
は、損金算入できないとして所轄税務署が法人税の更正処分などの賦課決定をし
た事案で、長崎地裁はこのほど、国の主張を退け、納税者である原告の主張を認
める判決を下した。国が控訴しなかったため、判決は確定している。
判決では、
①妻は原告の代表者の海外出張の際に通訳を務めていたが、ほかの従業員が担
当となったこと
②妻は監査役の任務のほかは原告の業務にほとんど関与しなかったこと
③妻は飲食店業を営むため別の法人設立準備を行い、設立後は専らそちらに従事
していたこと
などを指摘、地位または職務の内容が激変したということができると判断、国側の
主張を退け、原告の主張を認めた。
そして引用された通達はあくまで例示に過ぎず、実質的に退職と同様の事情があ
る場合には、支給された退職給与は損金算入すべきものと示した。