平成23年度の税制改正大綱は、平成22年12月16日に公表されました。改正案は、昨年度改正の「控除から手当へ」に加えて、デフレ脱却と雇用の維持・拡大、格差是正のための所得及び富の再分配機能の回復が主眼です。総じて、高所得者及び遺産取得者に負担を求めているのが特徴です。
それでは、今回、個人所得課税について主な改正項目を確認していきます。
(1)給与所得控除見直し
今まで青天井だった給与所得控除は、収入1,500万超で控除額245万円を限度とし、また、役員等給与(役員としての職務の対価)についても、控除限度額245万円は、収入2,000万超からは逓減、4,000万超で125万円が上限となっています。なお、役員等は、法人税法第2条15号に規定する役員、国会議員及地方議会議員、国家公務員及び地方公務員で一定の職種の者です。
(2)退職所得課税の見直し
役員としての勤続5年以下の当該役員退職手当金については、退職所得控除後の残額の2分の1とする課税措置、いわゆる「2分の1課税」を廃止するとしています。
また、退職所得に係る個人住民税額の10%税額控除を廃止するとしています。
(3)成年扶養控除の見直し
その年の合計所得金額400万円超の人については、年齢23歳以上70歳未満の扶養親族のうち、特定の親族(年齢65歳以上70歳未満の高齢者、障害者、学生等)以外は、扶養控除の対象外となります。なお、その年の合計所得金額400万円超から500万円未満までは控除額38万円を限度として負担調整措置が設けられています。
上記(1)、(3)の改正は、平成24年分以後の所得税及び平成25年分以後の個人住民税から適用されます。また、上記(2)の改正は、所得税は平成24年分以後、個人住民税は平成24年1月1日以後に支払われる退職手当金から適用されます。
(4)その他
①特定支出控除について、その範囲の拡充及び適用要件を緩和、②上場株式等の配当等及び譲渡所得等に係る10%軽減税率(所得税7%、住民税3%)の適用期限を2年延長、③公的年金等の収入金額が400万円以下で、かつ、年金以外の所得金額が20万円以下の者について、確定申告不要とする等の改正がなされています。