平成23年度税制改正から外れた内容

当初の内閣提出の税制改正案は
 通常国会の初期に出されていた当初の平成23年度税制改正案は、衆議院で立往生していましたが、その一部が、自公民3党合意案として分離され、6月22日に国会通過し、6月30日公布されました。

 3党合意に至らなかった残りの部分は、年度改正ではないタイトルに変えて引き続き「所得税法等一部改正案」として衆議院で継続審議という立往生状態を続けています。

本年改正が断念されたもの
 そういう経過で、当初の税制改正案で今年の成案化が絶望視されているものは以下の通りです。今年の改正の目玉項目だったものの多くを含んでいます。
<個人所得課税>
・役員の給与所得控除の上限設定
・給与特定支出控除の見直し
・成年扶養控除の所得制限
(特定扶養親族・障害者等は存続)
・5年以下の役員退職金の1/2課税廃止
<法人課税>
・実効税率を5%引下げ
(法人税率30%→25.5%)
・減価償却の見直し(200%定率法)
・ 大企業欠損金繰越控除の2割制限

・中小法人に対する軽減税率の引下げ
(18%→15%)
<資産課税>
・相続税の基礎控除の引下げ、
税率構造の見直し
・贈与税の税率構造の緩和
・精算課税の孫への対象拡大
<国税通則法>
・納税者権利憲章の策定等の抜本改正

増税路線と権利保護の破綻
 ここに列挙した税率軽減・贈与税以外の項目はすべて増税項目で、納税者権利保護もその増税への不満忌避としての策にすぎません。

 多分、今後は次々と新しい増税項目が毎年目白押しに出てくることになっていたのだと思われます。消費税の税率アップが当面の切所ではありますが。

 それが、最初の増税元年に破綻してしまったわけです。しかしながら、財務省は継続審議として成案化を追求し続けています。来年2年分をまとめて増税改正できるか否かが、今後のわが国の財務省主導の財政のあり様に、大きな影響を及ぼしそうです。